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認知症患者の戯言

2009 - 01/07 [Wed] - 20:38

 今日も、母は父を見舞った。
 父を見た瞬間、母は一瞬「目が点になった」そうだ。
 というのも、父はズボンをはき、ブルゾンを羽織って、ベッドにたたずんでいたからだ。
 父は母を見るなり
 「話がある」といった。
 母が「話があるって、いったい何よ」
といったら、父は
 「ここでは話せない。向こうに行けばわかる」としきりに促す。
 病室から出てくる老夫婦を、唖然とした表情で見つめる悪魔たち。
 担当の悪魔が「どこへ行くんですか?」とすっ飛んできた。
 何があるんだろうと母が思っていたら、父は意外なことを口にした。

 「○○さんがねえ『いつでも外科に戻ってらっしゃい』っていったよねえ」。
 父が外科でお世話になったのは、△△さんという外科医で、○○というのは、今父を担当している悪魔である。
 認知症と戦いつつも、父は当時の記憶を必死に搾り出す。
 「△△さんねえ『いつでも戻ってらっしゃい』っていったんだよ」
という父に、担当は
 「外科にいくということは『もう一度手術をする』ということなんですよ」と、必死に説明する。
 母は、父の様子から、今の主治医に不満があるのだなと思ったそうだ。
 そりゃそうだろう。いくら図々しい父だってストレートに
 「医者を代えてくれ」
なんてことを、口が裂けてもいえない。
 父は、他人に聞かれて困ることは、場所を動かして話す人だ。
 はたから見るより、父はボケていない。

 父が言いたいのは、こういうことだ。
 外科から内科に移るとき、外科での担当医は父にこういった。
 「外科と内科では、治療のやり方が違うんだよ。だから外科は、内科のやり方に口を出せないんだよ」と。
 そして、こういったそうだ。
 「抗がん剤の治療が終わったら、いつでも戻っていらっしゃい」と。
 だが不幸にも、父は癌転移が確認され、もうすっかり先が見える状態になっている。
 それでも父は「自分は絶対に治る」と堅く信じこんでいる。
 何しろ、個室から大部屋に戻ったときも
 「僕にも食事が出るのかなあ」
と口にしたくらいなのだから。
 ある意味、父は能天気。
 癌と戦うには、このくらいの図太さが必要なのだ。

 母は戻ってきて、私に
 「ああ面白い。何度思い出しても笑っちゃう」
と私に言う。
 そりゃそうだろう。
 耳が聞こえない上に、認知症が進行している。
 しかも大部屋。
 同質の患者さんも、父と母のやり取りを見て笑っているそうだ。
 他人から見ると、そのやり取りは「漫才」に見えるのだろう。
 楽しくて笑っているのか、それともせせら笑っているのか、こちらからはわからない。
 
 なるようになれ。
 ここまできたら、ある種の開き直りも必要だろう。
 いやなこともここまで積み重なれば、どうって思えなくなるものなのだ。

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Author:PSILA
「平和」・「自由」・「平等」を愛する、ワーキングプア階層に属するしがない中年フリーター。
ひょんなことからボランティア精神に目覚め、某NGO主催のクルーズに参加したことがきっかけで「9・11」以降都内近郊で開かれた平和関係イベントに積極的に参加し、その模様をネットに公開するようになる。
このBLOGは、生活苦と闘うワーキング・プア中年男性フリーターの軌跡を綴るものである

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