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夏の夜の夢
今日、私が住む街で「祇園祭」という名の夏祭りがあった。
私が今住んでいる街に引っ越してきたのは幼稚園の頃だったから、長い年月を今の居住地にいることになる。
私が引っ越してきた頃、この街は電車が1時間に2〜3本しかなく、店も古いながら「老舗」の雰囲気を漂わせるところが多かった。そう、俗に言う「バブル景気」がやってくるまでは。
この街の転機は、’80年代後半にやってきた。
国鉄が「JR」に民営化され、電車の本数が増えた。それに伴い人口が急増し、図書館などの公共設備も整備された。駅前や国道沿いには、大型ショッピング施設が進出した。
だが、これがいけなかった。
いままで老舗にやってきた顧客は、こぞって大型ショッピング施設で買い物をするようになった。そのため、旧街道沿いに軒を連ねていた店の多くは、売り上げ減少で続々と閉店した。中には、店の建物自体が消えたところもある。騒音をまき散らしていた駅前のパチンコはいつの間にか消え、跡地は駐車場になっている。かつて、よく足を運んでいたラーメン屋もしかりである。
学校からの帰り道、あるいは会社が休みになる度に顔を出した本屋は、2軒が廃業し、1軒は商品の品揃えを変え、残る1軒も売り場面積を縮小して、何とか存続している。廃業した2軒の本屋のうちの1軒は、建物はそのままで、今は葬儀場となっている。ネットカフェに入り浸っていたときにお世話になった隣町の書店も、昨年8月に店をたたんだ。国道沿いには大型書店があるが、そこもいつまで持つことやら。
そんな我が街にとって、このお祭りは1年に1度だけ、この街のかつての栄華を偲ばせてくれるもの…のはずである。
しかし、祭りの様子をよく観察すると、出店の業種も「グローバル化」の影響が色濃くにじみ出ていることに気がつく。どこをみてもチョコバナナ、くじ、焼きそば、たこ焼き、焼き鳥といったものばかり。「夏祭り」につきものの綿あめ、焼きトウモロコシを扱う店はほとんどない。
客層も柄が悪くなっている。前後左右見渡しても、道路を闊歩しているのは柄の悪いヤンキーかコギャル、たまに見かける運動部所属とおぼしき連中も、その視線は鋭く、お世辞にも理知的とは言い難い。
客層ですらそうなのだから、祭りを仕切る委員会のお歴々や、各町内会で御輿を担ぐ人々も似たようなもの。祭りの内容は、この街に住む古老、悪くいえばこの街の利権・商売を一手に取り仕切っている、変化を好まない有力者が牛耳っている。その中には、闇社会の存在を肯定し、必要悪と割り切っている人々もいるだろう。御輿の担ぎ手の中には、それとおぼしき連中が目につく。そのため、祭りは好きだが、あの祭りだけは行きたくないという声もあるようだ。
このお祭りは、以前は7月の週末(土日)に開催されていた。ところがいかなる理由からか、数年前から平日開催に変更された。遠来客の訪問は望めないから、市内在住者が多数やってくればそれでよし、ということか。
宴が終わった後、この街は再び殺伐とした雰囲気が漂うゴーストタウンに変身する。
この街がかつての輝きを取り戻す日はやってくるのか?
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