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希望の訓練受けられず
長期的視点での「人材育成」を怠ったツケ…
失業者 介護・医療に集中 希望の訓練受けられず
記事と似たようなケースは、私も経験している。といっても私の場合は職業訓練校の入試で落とされたのだが。
ハローワークは自前で、職業訓練のための施設を持っている。学費は無料で、設けられているコースは、各ハローワークによって異なる。事務系だと簿記、医療事務など、工業系だとボイラー管理、溶接工などである。期間はコースによって異なるが、大体1〜2年ほど。資格取得を目指しているので、カリキュラムは朝から夕方までびっしり詰まっている。
職業訓練校の入試には、ハローワークに求職願を出している人間なら、誰でも受験できるが、競争率はコースによって異なるものの、おしなべて数字は高い。私は以前医療事務の資格取得を目指していたこともあり、都内の訓練校の医療事務コースを、地元訓練校の簿記コースを受験したが、どちらも不合格だった。
特に後者では、屈辱的な扱いを受けた。試験は筆記と面接という構成で、筆記試験は中学程度の学科試験だが、数学のできが悪くて難儀したことをお簿終えている。屈辱的な体験は、そこでの面接試験の時におこった。
面接試験は、受験生1名対面接官2名という形式で行われる。私の順番の時、なぜか試験官の1人はいびきをかいて、竿をこいでいた。起きていた方の試験官から、志望動機などに対する応答があり、私はそれに一生懸命答えているつもりだった。信じられないことは、次の瞬間におこった。寝ていた試験官が目を覚ますと、さっきと全く同じ質問を繰り返し、同じ答えを要求したのである。私はあっけにとられ、体中の血液が頭に逆流するのを覚えた。普通だったら、職務怠慢で糾弾されるケースであるにもかかわらず、その試験官は何事もなかったかのように振る舞った。冗談じゃない、受験生は、将来をかけて試験を受けているのだ。その大事な「儀式」に、居眠りするとは何を考えているのだろう?先に私に質問した試験官も、困惑の表情を浮かべていた…私は落とされた。結局、簿記の資格は自腹を切って取得したが、その資格を生かす機会がないまま今日に至っている。
小泉内閣で経済政策をいってに引き受けた竹中は、ことあるごとに
「みんなで平等に貧しくなるか、金持ちに頑張って引っ張ってもらうか」
と発言していたが、我々は「人並みに食えるだけの収入が欲しい」と思いこそすれ、「平等に貧しくなりたい」と思っていない。人並みの地位にのし上がるための制度を充実させるのが政府の仕事のはずだが、小泉以降の政権は、その制度を確立することを怠ってきた。そのツケを、今民主党政権が払っている。
失業者が介護・医療職に殺到しているのは、メディアが盛んに、これらの分野は人材難だと煽っているからだ。しかし、これらの仕事は知識を持っているだけではダメで、人並み以上のコミュニケーション能力が求められる。学校で習う3ヶ月程度の授業で、業務遂行に必要な知識がどれだけ身に付くか疑問だ。「耳学問」程度の知識で現場に放り出され、想定外の状況に右往左往するするにわか「スタッフ」の姿が目に浮かぶ。世話を受ける側だって、こんなスタッフに面倒を見てもらいたいとは思わないだろう。
メディアがしきりに煽っている職業に「農業」がある。だがこちらは、医療・介護以上に人間関係が複雑で、その土地に馴染めるかという問題が立ちふさがる。新規就農に関しても、その地区の農業利権を牛耳る「農業委員会」の許可を得られないと、新規就農の夢は消えるのだ。
長きにわたり「自己責任」の論理が跋扈したために、日本の人材育成システムは崩壊の危機に陥っている企業も「即戦力」ばかりほしがり、未経験者を採用して育てるという会社はほとんどなくなった。その証拠に、私が職安通いをしていた時期も、求人票を見ても「経験○年以上」という仕事ばかりで、資格を取っても、生かす機会がない。じゃあ派遣でスキルをと思っても、派遣会社が求めるのは、今までの社会人経験でそれなりの実績を積んだ人材ばかり。10年近く前ですらそうだったのだから、今はもっと少ないはずだ。
この混沌とした状態は、いつまで続くのだろう。引っかき回すだけ引っかき回し、無責任に放り出した小泉・竹中コンビの罪は、あまりも重い。
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