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水俣病とメディア・2

2009 - 11/13 [Fri] - 10:55

 11月3日に法政大学で開かれた「水俣病とメディア」の報告2回目。
 今回は、NHKのドキュメンタリーを中心に報告したいと思います。
 
 NHKでは、水俣病の問題が時々取り上げられたが、まとまった番組として取り上げられたのは、テレビドキュメンタリーだろう。NHKのドキュメンタリー「日本の素顔」で取り上げられているのが、日本の放送史上初めて、水俣病について取り上げられたドキュメンタリー番組だ。特徴的なのは、急性劇症的な患者が出てくる。その多くの部分が熊本大学水俣病研究班の映像を引用したものだ。別にテレビで使うのではなく、症例研究用に撮られた素材から引用されている。医学研究者が使う水俣病患者の映像を引用するということは、医学者が見るはずであろう映像を、多くの人がテレビ画面を通じて知ることになるのだ。患者さんの姿、生活が映像として克明に記憶されている。生活援護給付が行われ、援助額がいくら増えたという形で封土され得るが、ドキュメンタリー番組では、患者の生活が描かれる。構造排水でも、しっかり捉えられている。ナレーションもかぶせられている。
 テレビというメディアが、テレビ固有方法で側面を切り取り、描かれた記録がドキュメンタリー番組だ。すくなからずの人々がこの映像を見ることで、水俣病を経験している。当時の多くの人がテレビを見ることで経験した記憶の記録であると捉えられる。
 精神神経科の医師であり、水俣病の患者を数多く診察されてきた原田正純医師は、当時インターンで東京の病院に来ていて、たまたま水俣病のドキュメンタリーを見て、大変なショックを受けた。それ以上にショックを受けたのは患者さんの生活である。東京は経済発展を遂げているが、それと対局を行くような生活ぶりにはショックを受けたという。M君の映像が強く印象に残っている。テレビを見ることで経験した画面がこのドキュメンタリーのなかにある。

 ここでNHKのドキュメンタリー番組「日本の素顔」の映像が放映される。
 タイトルは「99集 奇病のかげに」。
 99集とあるとおり、NHKはテレビ初期からドキュメンタリー番組制作に力を注いでいたことがわかる。

 (ここから映像)
 冒頭に、水俣病で視線がはっきりせず、どこか挙動不審な女子が出てくる。運動神経が麻痺しているため、身体の震えが止まらない.最初日本脳炎だと診断されていたが、当時は水俣病とはわからなかった。発病患者の死亡率は40%、患者のほとんどが貧しい人。症状が悪化し、平衡感覚がすっかり麻痺している。手足がしびれているのは、小脳が冒されているからだ。この病気の正体なにか?原因が魚であることはわかったが、それ以外については謎だった、目が見えなくなり、耳が遠くなる。

 早送りで現地の人の生活を放映する。取り上げられていた地区は、低所得者層が多く住む地区。ぼんやりした表情を浮かべる患者、本当には入院して治療を受けたいが、父のことを考えると入院を決心できないのだという。
 続いて登場したのは、失明した小学校1年生の「腕白小僧」である。水俣病のせいで、父も目・言葉が不自由になってしまった。彼はラジオが大好きで、当時の人気力士で、熊本出身の栃光のファン。丈夫な子に育つようにと、両親は彼に魚をたくさん食べされたのだが、それがアダになった。
 最後に怪しげな2人登場。彼らは「水俣病に効くクスリ」を持参した。私が研究したといって、一生懸命売り込む。当然そんな効能はなく、患者の弱みにつけ込んだ悪質な商法なのだが、父親ご苦労さんと頭を下げる。
 (映像ここまで)

 この少年は、その後も頻繁にドキュメンタリーに登場する。別の映像で、少年の手元に栃光から手形の色紙が届く場面がある。しかし、彼は視力がないから、その色紙を見ることができない。そのため、祖母が手形の形に沿って色紙を切り、彼の手に合わせることをする映像が残っている。
 59年にもNHKが、水俣病関連の全国放送ニュースを報道している。
 それから10年以上経過した’70年、NHKが「チッソ株主総会」というドキュメンタリーを作っている。この頃になると、第一次訴訟も提訴され、’68年には、水俣病の原因は、チッソ水俣工場が出す排水であるという公式見解が出されている(’68年)。そのドキュメンタリー中に、先ほど上映した「奇病の陰に」が引用されている。水俣病市民会議が、M少年を見守る映像が出てくる。テレビドキュメンタリーというのは、これまでの映像を盛んに引用して制作される。引用された映像は、それが放送されたときの記録、見られた記憶をとどめながら、そこに重ね合わせて新たな記憶に変わる。水俣病ドキュメンタリーでは、その手の引用が多く用いられている。ドキュメンタリーのシーンというのは記録としての性格が強く、出来事の記憶がとどめられ、新たな意味を持った記録になり、新たな記憶が重なるということが続けられるのだ。

 (ここから映像)
 ドキュメンタリー「チッソ株主総会」の映像 70年12月4日放映
 冒頭に出てくるのは、濃い緑の布に白く「怨」と書かれたノボリが林立する場面だ。株主会場付近では、水俣病患者を待つ支援グループに右翼団体との間に、緊張状態に陥る。右翼連中は国家云々という言葉で、支援団体を挑発している。そこに患者家族一行が巡礼姿で登場し、支援団体から拍手で迎えられる。巡礼団は裁判による決着を求めている。水俣病はあ政府に公害病と認定されるまで、地方に起きた奇病とされていたのだ。それまで患者達は、精神的、肉体的な苦痛を受けてきたのだ。
 ここで「奇病のかげにの映像 M君の姿が登場。先ほどの怪しい2人組が「水俣病に効く」といって患者に近寄るシーンだ。「これまでの映像を盛んに引用して制作」されるドキュメンタリー制作の手法である。
 画面は、先ほどのシーンから10年後のM君に切り替わる。視力が戻らないままだが、プロ野球のファンになっていた。地元の市議会議員が、患者の力になっている。訴訟支援を訴えるカンパや、水俣病訴訟を支援する地元民の数も増えてきた。 
 ここで場面が切り替わり、東京で1株運動を提唱する弁護士が登場する。インタビューのなかで彼はこう語る。
 「『チッソ』は、メチル水銀を工場排水と一緒に流したため海水が汚染され、住民は水俣病に冒された。原因が『チッソの廃液』と認定されてからも、工場は湾に廃液を流し続けた。患者達は何もしていない。魚を捕る技術を自慢していただけなのに。通常の日常生活のなかで水俣病になっていった。患者や支援者の方には、株を持っていただきたい。1枚でも立派な株主である。民衆の力で会社を包囲し、患者さんを援護しよう」
 この「一株運動」は全国的に大きな反響を呼び、患者のために旅費を支援する動きにもつながった。地元の労働組合も立ち上がり、チッソ労組も支援に参加するようになった。株主総会に出発する患者家族は、チッソ水俣工場正面スタートし、株式総会会場に到着した。
 総会会場の門が開いた。一般グループ、支援団体、右翼株主、そして患者・家族団体は、株主総会への出席票を握りしめて入場する。瞬く間に会場は満員になり、支援グループ300人が入場できず、会社側に抗議する。 
 巡礼団は会場内でご詠歌(ごえいか)を詠う。画面は船大工が登場する画面に切り替わる。彼の次女、3女が水俣病になり、病気のために何も言わない身体になったと母親が嘆く 画面は再び切り替わり、経営陣の心ない発言に、患者は会場内で暴れる。それに続く社長の発言は、患者家族の抗議の声で全く聞こえない。 会社側が社員株主に対し議案修正定義提出したこと、総会屋が登場したことで総会会場は大混乱に陥る。議事はたった5分で可決し、東京の支援者が公開質問状提出した。彼らは会社側に「悪しきイメージを払拭せよ」と主張するが、チッソ経営陣は責任を認めず、患者家族は激怒する。患者達はは壇上に上がり、ご詠歌を詠いながら抗議し、時に絶叫するが、社長はあれこれ自分の言い分を主張し、最後までお詫びの姿勢を見せなかった。総会会場に来ていた作家・石牟礼美智子さんが、患者に冷静に呼びかける。株主総会は40分で終了した。
 会場内の混乱を映し出す映像の背後に、こんなナレーションが流れる。
 「昔は患者救済の活動をしていたのに、今は企業告発に夢中になっている。一時の感情やイデオロギーで動く団体がおかしい。チッソには残って欲しい」。声の主は「水俣市民」となっているが、会社関係者かも知れない。
 総会終了後の記者会見で社長は
 「善良な市民には謝りたい 総会は無事に終わったと考える」
とぬけぬけと言い放った。彼のいう「善良な市民」がどんな市民を指すのか、ここではあえて言うまい。
 ラストに出てくる、会場前を舞い散る株券と、視線が定まらず声にならない声を出す、笑顔が美しい少女のコントラストを、このドキュメンタリーを見た視聴者はどう感じたのだろうか。
 これらの記録は、宇井純(故人・元沖縄大学教授)さんの著書「公害原論」に収められている。文字情報では表情は見えてこないが、映像ではそれがよくわかる。一株運動については、石牟礼道子が触れている。彼女が書いたことだけを事実と見なすわけにはいかないが、現実と併せて読み解くことはできる。

 今回のシンポの様子はここまでです。
 私のメモを元にしているので、ところどころ不正確なところがあるかも知れないということをあらかじめご承知おき願います。

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Author:PSILA
「平和」・「自由」・「平等」を愛する、ワーキングプア階層に属するしがない中年フリーター。
ひょんなことからボランティア精神に目覚め、某NGO主催のクルーズに参加したことがきっかけで「9・11」以降都内近郊で開かれた平和関係イベントに積極的に参加し、その模様をネットに公開するようになる。
このBLOGは、生活苦と闘うワーキング・プア中年男性フリーターの軌跡を綴るものである

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