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若宮啓文氏@水俣-2

2010 - 03/03 [Wed] - 10:39

 2月23日、明治大学において水俣・明治大学展プレ・スタディーズ第3回における、元朝日新聞論説委員・若宮啓文氏の講演の2回目をお送りします。

 私は駆け出しの頃に警察を回っている時、ある殺人事件が起きた。脳性麻痺の我が子の将来を悲観した親が、我が子を殺してしまったという事件で、親は警察に逮捕された。私が取材をしたが大変だった。施設も入れてくれないという環境で、親は疲れ切ってしまったのだが、町内の人が嘆願書を提出する。私はそれを記事にしたところ、ある団体から連絡をもらい、これを書いた記者に会いたいといわれた。その団体は脳性麻痺児の団体で、私は彼らに
 「こういう嘆願をする人も困るが、これを記事にする記者も困る。あんたは私たちに死ねというのか?」
といわれた。私は美談仕立ての記事にしたつもりはないが、先方はそういう風に受け止められたのだ。
 その子はそこまでの表現力はないが、親がそういうふうにいった時に首を振ったということは、生きるということに執着心を持っていたのだろうと思う。
 サカモトシノブさんという患者も出てくるのだが、この人はわりと症状が軽い。バレンタインデーにチョコを買ったりしている。それでも自分が生まれたことを呪う気持ちになったりする。いろいろ恨むこともあるんだ、母さんが自分を産んでくれなかったら良かった、母を殺して自分を死のうとしたが、そんなことなんかできないという話も出てくる。だから水俣病というのは、家族にとっても生き地獄のようでつらかったのではないか。
 人類の歴史の中で、いろいろ理不尽なことがあった。私の中では水俣病とは、戦争のように殺そうという意図がないのに発生した事件である。生きていながらこんな状況を作り出してしまった。人間はなんのために生まれ、なにを楽しみに生きていくのかとチッソに訴えた場面があった。

 原田正純さんが水俣に来た当初、患者達は彼に対して「ここに来てくれるな」という話をさきほどしたが、水俣の悲劇は今だけではなく、被害者であるにもかかわらず当初は悲惨な差別を受けてきたということだ。最初は伝染病ではないかといわれたため、地域から隔離される。患者が悪いわけでないのに、水俣のイメージが悪くなるということで、村八分の扱いを受けた時期もあった。そのため、患者にとっては二重・三重の悲劇になった。個人的にはこれを病と言っていいのか疑問だが、人間としての機能をやられるから、亡くなる時は悲惨だった。そういうところから原田さんのような先生のおかげで、水俣病の原因も究明されていくのだが、チッソがそれを自分の工場の水銀が原因だと認めなかったために、何年もの間水銀が垂れ流され、胎児性患者が生まれる期間が長引いてしまった。
 水俣病問題については、加害者と被害者の間に溝があると思わざるを得ない。チッソは日本窒素飼料会社といい、100年以上の歴史を持つ会社であり、日本の産業界の近代化と共に歩んできた。水俣にとってはチッソなくしては町の発展はなかったという存在だった。従業員が多かったし、チッソの工場で働く従業員には比較的恵まれた人たちが多く、チッソで働くというのは、地元から見たらステータスだった。だから貧しい農民・漁民が水俣病の症状を訴えてきても、地元の雇用を支えてきたチッソとの間の力関係は、水俣市当局から見ると比較にならなかった。この街はチッソのおかげで反映してきたという思いが、市民の間にあったのではないか。
 それは日韓関係に相通じるものがある。さすがに日韓関係に於いて
「今の韓国があるのは、日本がインフラを整備したおかげだ」
と公言する政治家は少なくなったが、自分がチッソの社員だったらどうしていたか、経営陣としてあの場にいたら、正しいことをできたかと自問せざるを得ない。
 人間というのはいやな動物で、なにか自分の非を指摘されたらそれを認めらる事ができないのだ。チッソの場合、水銀説が出た時に違う学説を学説に頼んだりして、責任回避に必死だった。当時は、著名な学者が「原因は水銀以外にある」という仮説を立てた。人間というのは不思議で、原因はどっかにあるから水銀じゃなければいい、そうだったら自分達が助かると思いたいという心理になる。
 たとえば、朝日が読売にスクープを抜かれたとする。その場合、お前なにをやってるんだといわれる。本当だったらネタを追いかけなくてはいけないが、わからない場合は放っておけということになる。追いかけていって違っていたら恥ずかしいということになるが、自分にとっては汚点になるから、あれは間違って欲しい、違った方向に誘導したい、できれば邪魔してやれという心理になる。
 そういう心理があったから、チッソも原因をそらそうとした。気持ちはわかるが、水銀が原因だとわかった段階、チッソ付属病院長が水銀が原因だとわかったと突き止められた段階で、非を認めようとせず、それどころか研究結果を隠し通した。これは一種の犯罪だ。当時の社長は業務上過失剤に問われ、最終的には禁固刑が確定した。個人的には、もっと重い罪で問えなかったのではなかったか?責任回避と企業防衛の論理が働いて、ああいう事態を招いた。チッソを責めるのは罪が大きいので当然だが、自分の会社での不祥事対応を見ていてもそう思う。

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Author:PSILA
「平和」・「自由」・「平等」を愛する、ワーキングプア階層に属するしがない中年フリーター。
ひょんなことからボランティア精神に目覚め、某NGO主催のクルーズに参加したことがきっかけで「9・11」以降都内近郊で開かれた平和関係イベントに積極的に参加し、その模様をネットに公開するようになる。
このBLOGは、生活苦と闘うワーキング・プア中年男性フリーターの軌跡を綴るものである

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