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守るべきもの・祝島

2010 - 03/08 [Mon] - 10:47

 書こう書こうと思っていたのだが、ずるずるとここまで来てしまったののをお許し願いたい。
 先月12日、国分寺にあるカフェスローで開催された、D-Lightという若手フォト・ジャーナリスト集団による、祝島写真展が開催されたので、その感想を綴ってみたい。

 この写真展の舞台になっているのは、瀬戸内海に浮かぶ、山口県上関(かみのせき)町にある祝島(いわいしま)という、人口550人あまりの小さな島である。周囲は瀬戸内海有数の漁場で、島の住民は漁業と農業で生計を立てている。この島は自然の宝庫であり、天然記念物に指定されているカンムリウミスズメ、スメナリと行った寄生生物も生息していることから、この地はしばしば瀬戸内海の原風景とも言われている。
 この島が一躍注目を浴びたのは、30年前に持ち上がった中国電力(以下中電)が、この地域に原子力発電所の建設計画を発表したからである。中電の懐柔政策により、島内住民は原発賛成派と反対派に別れて対立し、古くから続いていた地域内のコミュニティは崩壊した。しかし今もなお、島内住民の9割は原発に反対の意志を貫き、週1回原発反対デモを行い、それと並行して「原発に頼らない街作り」運動を進めている。
 それでも、彼らを取り巻く原状は厳しい。先月行われた上関町議選挙では、原発賛成派が議席数の3/4を占め、中電側もつい先日、上関町民に対し、一人あたり20,000円の給付金を支給を発表するなど、原発建設に向けて着々と足場を固めている。昨年秋には海上で中電社員と原発反対派の間で小競り合いが起き、反対派の活動家が海に転落し、危うく溺死しかけたという事件が起きている。
 現地ではこれだけの大騒動になっているにもかかわらず、このことを伝える中央のメディアは皆無である。現地の詳しい状況は、有志がインターネットで伝える情報が頼みである。ごく一部の新聞記者が記事を書いてくれることもあるが、それは極めてまれなケースであり、掲載されても地方版、それもネットの片隅にひっそりと載せられている、という場合がほとんどである。
 この写真展を企画したグループ「D-Light」は、日本唯一のフォトメディア雑誌「DAYS JAPAN」が企画した「DAYS JAPANフォトジャーナリスト学校」出身者が結成した。DAYS JAPANは創刊以来ずっとこの問題を取り上げ続け、創設者・編集長である広河隆一氏が、全国各地で講演会を開く度にテーマにするほど、原発問題に力を入れてきた。だが残念ながら、同誌以外に上関原発問題を取り上げるメディアは極めて少ないのが原状である。恥ずかしながら、私もこの問題を知ったのはインターネットのコミュニティサイト「twitter」からである(twitterについては、すでにご存じの方も多いだろうから、ここでは省略する)。
 彼らは昨年8月に初めて現地を訪問し、そこでなにが起きているのかをつぶさに見てきた。今回会場内に展示された18点の写真は、島で暮らす人々の姿をあますところなく表現している。写真だけでもこの地が「美しく、平和でのどかな田舎である」ということがおわかりいただけるだろう。

 ご多分にもれず、祝島がある地域周辺でも過疎化が進んでいる。祝島に住む550人あまりのほとんどが高齢者であり、若い人は安定した生活を求めて都市部に移住する。巷間「限界集落」という言葉が言われて久しいが、高齢者にとって自分が住む区域の整備は難儀である。険しい崖の上にある墓地も多く、祖先を敬うために彼らは命がけの行動を強いられている。そんな住民の方々を、「D-Lights」のメンバーは「おじい」「おばあ」と呼んで敬っている。彼らの写真からは、対象への尊敬のまなざしが感じられる。
 彼らが「おじい」と呼ぶ人間の中には、かつて原子力発電所で働いていた経歴を持つ人がいる。彼はかつて、福島県の原子力発電所で働いていて、原子力発電所の実情をよくわかっている人物である。彼が保有する「放射線管理手帳」には、原発内での作業時、どのくらい放射線を浴びていたかということが、あますことなく記載されているという。許し難いことに、原発内での作業時、彼には原発労働の危険性について、事前に告知されていなかったのだそうだ。彼と一緒に原発で働いていた仲間のうち、7人がガンで命を落とした。玄界灘にある原子力発電所付近に住む住民には、ガンや白血病にかかる確率が高いというデーターも存在するのだが、中電側はこれらの事実に関してはなにも言わない。
 基本的に、島の生活は自給自足で賄われている。生物の循環システムは、きちんと機能している。島の住民の中には、はるばる北海道からやってきた人もいる。そのうちの一人は、島で家畜を育てている。家畜たちは土地を耕し、生ごみや島でとれる食べ物を食べ、彼らが出す排出物は貴重な肥料になり、肥えた農地にしていく。写真に撮られた子豚や子牛達の、なんという愛くるしさ!飼い主が彼らに、あふれんばかりの愛情を注いでいるのだということが、写真から伝わってくる。私はこの写真の前で、不覚にも涙を流しそうになった。この写真は、そのくらい素晴らしいものだ。
 漁師は口々に「原発ができたら、わしらは漁ができなくなる」と訴える。原発は、ウランを燃やして水を沸騰させ、そこから出る排水を直接海水に戻す。海と排水の温度差は7℃、これだけあれば、生態系に致命的な打撃を与えるのは誰の目にも明らかである。また、ウランの燃えかすは、一度使うと再利用できない。原発反対派が問題視しているのは、原発が再利用できない物質を使うからだ。そして原発推進派が推し進める政策は、島の住民の先祖代々の生活スタイルとは、相容れないものである。
 上関原発建設予定地は、島の住民のご先祖達が眠る墓の目の前にある。そしてその地は、貴重な生物の宝庫である。ご先祖様を嘆かせてならない、いきものを殺してはならない、子孫を泣かせてならない。島のおじい・おばあたちは、その一心で毎週毎週、反原発デモを訴える。デモといっても、世間一般で思われているような雰囲気は、そこにはない。たとえるなら、それはご近所さんの茶飲み話の延長である。集団で行動するが、決して声は上げない。笑いながら「原発反対」というのみである。声高に「反対!」と叫んでも意味がない。それだったら肩の力を抜き、自分達のやれる範囲でゆるゆるとやり続けようではないかという彼らの運動スタイルは、従来の「運動」とは明らかに異なっている。
 間近で見る写真がこんなに素晴らしいのだから、実際の風景はもっと素晴らしいのだろうな。
 彼らの写真を見て、現地の生の風景を見たくなった。
 そんな日が来るのかはわからないけど…。

 追伸。
 彼らがつながるきっかけをになった「DAYS JAPAN」は、今創刊以来のピンチに陥っている。雑誌不況の大波に巻き込まれ、売り上げ数減少で廃刊の瀬戸際に追い込まれている。「DAYS~」は「存続キャンペーン」と銘打ち、大々的に定期購読者獲得作戦を展開しているが、目標人数に達するまでにもうちょっとというところまできた。存続か廃刊かが発表されるのは明日(9日)開催されるシンポジウム会場である。一読者として、この雑誌の存続が決まることを願うのみである。

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Author:PSILA
「平和」・「自由」・「平等」を愛する、ワーキングプア階層に属するしがない中年フリーター。
ひょんなことからボランティア精神に目覚め、某NGO主催のクルーズに参加したことがきっかけで「9・11」以降都内近郊で開かれた平和関係イベントに積極的に参加し、その模様をネットに公開するようになる。
このBLOGは、生活苦と闘うワーキング・プア中年男性フリーターの軌跡を綴るものである

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