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ステキなカフェはいかがです?
先日の記事で、ステキなカフェを2軒紹介したが、今回は雰囲気が好対照のカフェを紹介したい。
まずは、西国分寺駅から歩いて5分ほどの所にある「クルミドカフェ」。客席スペースがさほど広くなく、その中に効率よく座席を設置しているので、階段がやや急になっているのが難点だが、この店を訪れた客は、店内は街中に響く雑音とは無縁の、異次元の世界に圧倒されるだろう。そして木目調の内壁と、店内に鳴り響くチェンバロの音、バロック音楽、そして美しい照明といった、店内に漂うハイセンスな雰囲気に癒されるのだ。1人あたりのスペースも広めにとられているので、ゆっくり読書をしたいとか、原稿を書きたいとかという人には、おすすめの場所である。
このお店のコンセプトは、それぞれがはみ出しながら緩やかにつながる、コミュニティを持った暮らしの場であるということ。そして、ここをきっかけになにか生まれるような、そしてこの店がなくなった時に、多くの人が惜しんでくれるような店になって欲しいというのが、店主の願いだそうだ。
提供されるメニューは、コーヒー・紅茶・ケーキのどれもが自家製である。コーヒーは札幌にある小さいな焙煎所から直送されている。それを水だけで8時間かけ、じっくりと抽出する。それがこのコーヒーのウリになっている。店側は「味はしっかりしているのにすっきり飲める」と宣伝している。
このカフェはソーシャル・イベントにも力を入れおり、1階のスペースでは様々なイベントが施行されている。つい先日も、社会活動家・社会起業家を集めたセミナーが開催された(私は日程が合わず不参加)。日程はHPに随時更新されているので、興味がある人は参加されてはどうだろう。
次に紹介する「新宿ベルク」は、クルミドカフェとは全く対照的な雰囲気を持つ喫茶店である。
新宿駅東口改札から徒歩1分、新宿の駅ビル「ルミネ」地下1階という最高のロケーションを誇るこの店が世間に知れ渡ったきっかけは、ビルテナントでも売り上げ上位を占めているにもかかわらず、駅ビル側から理不尽な理由で退去勧告を受けたことが、メディアで大々的に報道されたことだ。そのニュースを知って憤りを感じた常連客が、「ベルク撤退反対」を訴える署名活動を始めたところ、瞬く間に支援活動の輪が全国に広がった。
そんな彼が、ある日突然店をやりたいと言い出した。しかも喫茶店形式から立ち飲み式に改造し、経営形態も株式会社にすると宣言した。これまで店の経営に全く興味を示さなかった家族、特に母親はこの提案に大反対した。口だけでなく本気であることを示すために、彼は喫茶学校に通って、喫茶店経営のイロハを一から習得した。
メニューにも工夫を凝らした。コーヒーを煎る機械にかなりのお金をかけ、コーヒー・ソーセージ・パンの職人は当代でも腕っこきの人材を呼んだ。ソーセージは、コンテストで世界でも上位にランクされる腕前を呼ぶ人物である。パン生地は、以前は懇意の取引先から仕入れていたが、取引先が工場での大量生産方式を導入したのをきっかけに、自家製造に切り替えた。こうした数々の営業努力もあり、ベルクは駅ビル内でも屈指の売り上げを誇る店になった。
なぜ駅ビル側が、この店に立ち退きを迫るようになったのかは、当事者であるベルクにもわからないという。駅ビル側が「駅ビル改修」以外に、理由を明示しないからだ。オーナーは著書「新宿駅前の小さなお店ベルク」の中で、自分の祖父が駅ビル上層部と昵懇の関係にあり、それが疎ましいのではないかと著者は想像するのだが、真相はヤブの中である。
当代に名を知られた文化人の中には、この店をひいきにしている人が多く、彼らはこの店がなくなることを危惧している。店内は展覧会やイベントなどの案内パンフが数多く陳列されるだけでなく、展覧会のための貸しスペースとして利用されるなど、この店は文化人にとって、ちょっとした出会いの場になっている。唯一の難点は、分煙と喫煙スペースが明確に区切られておらず、たばこを吸わない人間にとっては居心地が悪いということだ。
とはいえ、この店ほど新宿という、雑多な街にふさわしい店はない。この店がなくなるということは、文化面での損失が大きいと思うのは、私だけではあるまい。